2022年共通テスト総評 数学IIB
少し間が空いてしまったが、共通テスト数学IAに引き続き、IIBにも挑戦した。
数IAの影に隠れているが、実はこちらも前年から平均点から15点以上落ちており、かなり難化していると噂の数IIBである。
しかも、数IAはセンター試験時代の60分から10分追加されて70分となった一方で、IIBは何故か60分のままに据え置きとなっている。この謎の冷遇により、より受験生泣かせの科目となったと言えるかもしれない。
数IIBにおいても、自分の今の実力を勘案し、満点狙いではなく手を付けた問題をできる限り正解させる戦法で進めていった。
大問1 28点/30点
大問2 10点/30点
合計 38点/100点
総評
今年の共通テスト数学で一貫して感じたこととして、問題が難しいというよりも、とにかく時間が足りないということがあった。
自分の数学力が現役時に比べ落ちているのは当然認めざる得ないことなのだが、それを抜きにしても、物理的に時間が足りないと感じた。
これは、センター試験が共通テストに変更される際の基本方針とされた「思考力、判断力、表現力を問う形態」に反するものであるだろう。
そもそも、「単に処理能力を問うものになっているのではないか」と問題視されたセンター試験からの脱却を図るために、共通テストへと形態が変わったはずである。
そうであるにも関わらず、今年の問題を見る限り、処理能力が如何に速いかが得点の高低を大きく左右する内容になってしまっているように思う。
今年の試験に関しては、高校の数学科教員や予備校講師、大学教員でさえ、一貫して難しいと認めるような内容だ。問題作成者は、この問題を受験生が時間内に解けることを想定して作っていたのだろうかと疑問に思うほどである。
身近な事例を入れる、会話文形式にするなど、努力や改善しようとする意識は大いに結構なのだが、大人の勝手な都合で、受験生たちの一年間の努力が水の泡になるような内容になることは、あってはならないことだと外部ながら強く思う。
そもそもとして、たかが数十分の試験ごときで「思考力を問う」とはなんなのだろうか。お役所的な観点ではなく、受験生、学生の立場に立った観点をもっと持つべきなのではないかと意見したい。
受験生にしても、ノー勉おじさんが38点とれるような試験で平均点が約43点だったというのは、もう少し頑張って数学を学んでほしかったとは思ってしまうのだが、老害意見はこのくらいにし、自分自身の結果を振り返っていく。
数IIBは兎にも角にも計算量が多いので、計算スピードが遅いわたしにとってはそもそも鬼門なのだが、久しぶりにやったということもあって、計算ミスが多く大量失点につながってしまった。
受験生諸君が味わったような数IAショックもない、リラックスした状態で受けたにもかかわらず、平均点程度しか取れなかったとはなんと情けないことか。正確性だけではなく、もっとスピードを意識した対策が必要であると強く感じる結果となった。
下記に、手を付けた大問ごとにレビューしていく。
大問1 28点/30点
大問1前半
円の方程式と直線の交点を考える問題。
関数は得意分野なのでサクサクと解き進め、順調な滑り出しで無事完答。途中、太郎くんと花子さんの会話がでてきて、2人の提示する解法に沿って解かなくてはならない雰囲気であったが、それらをガン無視して独自の方法で解いてしまった。このように解法を限定させる誘導問題こそが、まさに思考力の低下につながるのではないだろうか。
大問1後半
2つの対数の大小関係を考える問題。
底と真数が入れ替わった場合の大小関係と、その満たすべき条件などが問われる。途中まではうまく誘導に乗って進んでいったのだが、途中からよくわからなくなってしまった。しかし、なんとなく適当に選んだものが3問中2問的中し大問1は高得点となった。
運も絡んだが、問題自体がとくに難しかったわけではなかった。
しかし、この時点で25分ほど時間をかけてしまったことを考えると、やはり予想されていただろう解答時間との乖離を感じる。受験生的にはこの時点で万事休すだろう。
大問2 10点/30点
大問2前半
3次方程式と直線の共通点を考える問題。
序盤の問題は解けたが、途中からわからなくなってしまったので、その時点で見切りをつけた。18点中6点獲得。
大問2後半
2つの3次関数と直線で囲まれた面積を計算する問題。
この3次関数の中に変数が入っていたため、いまいち両関数の形状が思い描けなかった。
途中まではなんとなくの曲線のイメージだけで解いていたのだが、その後、いよいよ両曲線で囲まれた面積を計算する段になって、やはりざっくりとでも曲線の形状がわからないと解けないなと考えを改め、結局それぞれ微分してざっくりした位置関係を図示することにした。
この辺りで大問3以降を諦め、なんとかこの問題を完答して50点くらいは確保しようと戦略を切り替える。しかし、肝心の積分範囲のところで計算ミスをしたために、時間をかけたにも関わらず得点には結びつかず、結局4点しか取れずに終わった。ここを間違えなければ後6点は取れたと思うと、平均点にほぼ並ぶところまでいけただけに残念であった。
ということで合計38点となった。
編集後記
これまで話してきたとおり今年の共通テストは数学が異常に難しかった。
しかし、難化に関してはなにも数学だけではない。予備校発表などをみていると、国語も難化したと言っているし、ここではとくに触れていない理科・社会も科目によっては難化しているとあった。
別の記事でも触れたが、全体の平均点が下がることは実はグッドニュースなのである。
全体が低ければ、自分の低さが目立たなくなるからだ。
したがって、例年のように共通テストで9割取れないと2次試験で頑張っても合格は難しい、というような共通テストの必要水準は下がるだろう。だからといって油断してはいけないが、気持ちを入れ替えて、目下本格化する私立受験、数週間後の国立2次試験に向けて最後のもうひと踏ん張りをしてほしい。