受験の種類(一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜)
受験、と聞くと「テストで良い成績を出して合格を目指す」といったイメージが先行するのが一般的だと感じているが、選抜方式はそれだけではない。
いわゆるテストで学力を測って合格者を出す方式を「一般選抜(旧:一般入試)」といい、それ以外にも「学校推薦型選抜(旧:指定校推薦)」と「総合型選抜(旧:AO入試)」という形式がある。
普段から良い成績をとっている人であればすでに検討しているかもしれないが、もし考えていなかったのであれば、自分の学校がどの大学の指定校枠をもっているのかを調べて見るくらいはしてみても良いかもしれない。
一般選抜
一般選抜は、各大学の実施する学力試験の成績によって合否を判定する方式である。
冒頭に書いたように、受験と聞くと真っ先に想像する選抜形式であろう。
合格に足る学力と、本番でパフォーマンスを発揮するだけの体力・集中力・その他諸々が必要になるが、なによりも高校在学中の成績は一切関係がない「テストでの一発勝負」というのが特徴だろう。
大抵の国立大学は共通一次が5教科7科目+二次試験(独自試験)という形式であり、私立は科目数から共通一次利用まで細かく形式がわかれている。また、当然ながら大学・学部によって受験科目も変わってくる。
国立は前期と後期に試験がわかれ、最大で2回(大学によっては中期試験もあり、最大3回)試験を受けることができる。しかし、大学によっては後期を実施しないところもあり、あったとしても後期は人数が極端に少なくなっている。
私立は大学・学部によって試験日が変わってくるため、同一の大学でも別学部で複数回試験を受けることが可能である。別学部であれば受験科目も試験内容も変わってくるため、どの大学をいくつ受けるのかは、事前の対策をどれだけ練れるかと共に、試験本番期間の体力やスケジュールを含めて考える必要がある。
また、同じ大学であっても学部ごと、試験方式ごとに合格者予定数が違うため、そういった確認も戦略上集めておくと良い。
最近は明治大学の全学部統一入学試験のように、1回の試験で複数の学部を一気に受けるような試験制度も導入されている。
より詳細な内容はこちらの記事で参照ください。
学校推薦型選抜(旧:指定校推薦)
学校推薦型選抜は、高校での成績及びその他の活動や成果によって合否が決まる形式である。一般選抜のような一発勝負ではなく、書類審査、面接、小論文、プレゼンテーションや学力試験などにより複合的に判断され、一般選抜よりも前のタイミングで実施されるのが特徴。
大きく共通テストを使うかどうか、でわかれ、使用しない場合には小論文など何らかの方法で評価することが必須となっている。
高校ごとに割り振られる「指定校制」と全国の高校から生徒を募る「公募制」という違いがあるが、どちらの場合も学校に推薦されなければ利用できない。
そのため、学校によっては学内選抜も行われることがある。
また、どちらの場合においても国立の方が基準が高い傾向がある。
指定校制
大学側から指定校として認定された高校が、一定数の入学枠を与えられ、優秀な入学希望者を推薦する仕組み。
高校での競争を勝ち抜き、枠を得ることさえできればほぼ合格できるといわれる。
そのため、前述の通り学内選抜が行われる学校もある。
国立大学では行われておらず、私立大学と一部の公立大学にて実施されている。
公募制
大学が定める出願条件を満たし、学校の推薦があれば出願することができる仕組み。
こちらは大学からの指定がなくとも出願可能であるが、その分倍率が高い。
国立大学の場合はこちらの形式となる。
基準となる成績
学内での成績が重要な選抜方式であるため、入学難易度の高い大学であるほど高い成績が求められる。
概ね、高校三年間の平均評定が4.0以上、成績上位◯%といった高水準の成績が要求され、それ以外にも条件が課されることも多い。
また、国立の場合には共通テストの成績が求められることがほとんどである。
こちらのサイトに一覧が載っているため、どういった成績が求められるかをざっと確認するのに良いだろう。
https://dricomeye.net/33_nu_suisen/list_nu_suisen26.html?ver=20211101
もちろん、志望校が決まった後は公式サイト等で正確な一次情報を必ずチェックしよう。
総合型選抜(旧:AO入試)
総合型選抜は、学校推薦型選抜のように高校の推薦が必要なく、条件さえ満たせば誰でも出願できる選抜方式である。
選考期間が長く、各大学によって豊富な選抜方法があるのが特徴であり、大学が求める人物像(アドミッション・ポリシー)に合う人材かどうかを様々な面から判断される。
一部の国立大学、そして多くの私立大学で実施されてはいるが、誰でも出願できるという性質上倍率は高めになることが多い。
大体11月から3月までという長い選考期間となるため、他の方式と併用する場合には大きな負担となるため、よく戦略を練って挑戦しよう。
また、大学によっては特定の資格や大会成績などが要求される場合もある。
選抜方法も多種多様であり、書類審査や小論文、面接などが一般的だが、プレゼンテーションや模擬講義への出席等が必要になる場合もあるため、全てに準備をするのはかなりの労力が必要になる。
塾の説明会を利用するのも手
塾に入らなくても、選抜方式ごとにどういった準備が必要になるか(その準備が上手にきちんとできるように塾に入りませんか?という形)の説明会を行っている場合もあるため、もし知識に不安があれば参加してみるのもよいだろう。
納得すれば塾に入るのも良いが、受験に関して自分よりも遥かに長く関わった人から話を聞ける機会というのはそれだけでも貴重で有意義なものになるため、中学~高1、高2くらいまでの受験における最初の一歩としてはおすすめだ。
推薦入試、AO入試など、調べると広告がわんさか出てくるので、興味があるところをチェックしてみてほしい。
編集後記
それぞれの選抜方式を併用することも可能であるが、一般選抜以外の選抜方式では、志望理由書の作成や面接、小論文など、学力試験では活きない科目に念入りな準備が必要となるため、どちらも中途半端に終ってしまう可能性がある。
メリットばかりではないため、きちんと受験全体の戦略を考えた上で選抜方式を決定していこう。
また、推薦方式は高校での成績や生活態度を高水準に保たなければいけないため、いざやろうと考えてもタイミング的に手遅れの場合も考えられる。選択肢を多く考えるという意味でも、高校の早い段階で一度受験のことを考えてみることが重要と言えるだろう。
AO入試という方式が様々な大学で急激に利用できるようになってきたのは2000年度のことらしい。はじめは慶應のSFCからだったそうだがそれは置いておいて、ちょうど普及していった頃に受験を迎えていたわたしの記憶が確かなら、当時のAO入試は「一芸入試」などと揶揄されていた覚えがある。
しかし、正直なところ行きたい大学があるのであれば入ってしまえば方法などどうでも良い、と当時から考えていたし、その考えは今でも変わっていない。
入ってからきちんと勉強するほうがよほど重要である。
面接や人柄も立派な武器であるので、自信があるなら積極的に利用していくと良いだろう。