2022年共通テスト総評 数学IA
1月15、16日に今年度の共通テストが実施された。
この記事では2022年共通テスト数学ⅠAのレビューをしていく。
当然ながら前もって問題を見ることはなかったが、今年は非常に難しかったとは耳にしていた。そのため、最初から「全問解くのではなく、手を付けた問題は落とさないようにする」という戦略で臨めたのは、受験生よりも有利だったかもしれない。
ただし、他教科と違い10年ぶりに数学を解いたことを考えると、戦略を一つ整えるくらいでは五分にもなっていなかったかもしれない。
まずはじめに、本番と同じ条件で解いたわたしの点数を載せておく。
大問1 15点/30点
大問2 15点/30点
大問4 7点/20点
合計 37点/100点
総評
共通一次試験史上、最も難易度が高いと言われた2022年共通テスト数学IAだが、全国平均は40点くらいになると予想されている。そのため、わたしの結果でも概ね全国平均程度は取れているという形にはなった。
各問の詳細な解説はすでに各種予備校や数学愛好家が出しているので、下記ではわたしの個人的な感想を書いていこう。
大問1
以前受けてから10年ほどたっているだろう、久々の共通試験(センター試験)数学だったため、はじめはとにかく勝負勘というか、上手く問題の誘導に乗ることができなかった。
これで数分は無駄にしてしまった印象だ。
それでも、一応手を付けた問題は全て正解することができた。
後半部分、正弦定理を使うんだろうな、という問題に差し掛かったが、正弦定理の内容を失念してしまっていたので、残りの問題は捨てるという判断になった。
本番であればこういった捨て方はできなかったろうが、前評判と現在の実力から戦略を考えていたので、こういった形をとった。
大問1を解いた時点での感想としては、史上最難とまではいかないのでは?というものだった。きちんと実力がある学生であれば、完答できたのではないだろうか。
大問2
2次関数を色々と弄る問題。
こちらも、はじめは上手く誘導に乗れず、余計な時間を食ってしまった。
後半は「統計とデータ」の範囲だったが「わたしの時代、ここは必修単元じゃなかったんですよ」と言い訳じみたことを思いながらも、統計知識は仕事でも扱うこともあるためチャレンジ。解けるかなと進めていったのだが、結果としては時間をかけた割には正答率は芳しくなかった。潔く捨てるか、きっちり腰を入れてやればよかったと反省。
大問3
順列組み合わせと確率の問題だったが、公式を忘れている気しかしなかったため飛ばした。最初の簡単な問題くらいは手を付けておけばよかった、と後になって後悔。
後悔先に立たずとはよく言ったものである。
大問4
整数問題。
序盤の滑り出しこそ良かったものの、回答するのに満たすべき条件を勘違いしていることに途中で気づき、解き直さなければならなくなった。そのため、ここでも予想以上に時間がかかってしまった。
問題の難易度以上に、こういった”勝負勘”のような部分が本当に衰えてしまっていることを痛感。ただ、手を付けた問題は全て正解することができたため、すぐに解けそうな問題と、パッと見で解法が浮かばない捨て問の見極めはできていたように思う。
多くの学生が嘆いていたことではあるが、あとは時間が課題になりそうだというのが率直な感想だ。
大問5
図形問題。
最後に少し時間が余ったので問題をみてみたが、パッと見は簡単そうであった。
しかし、問題文に沿って図形を描いている途中で時間切れ。図を描いてみたところ、途中でチェバの定理、メネラウスの定理あたりを使いそうな図形だな、とは考えたが、全体としての難易度は把握できなかった。
残った時間をこの大問5ではなく、大問3に行っておけば、もう1問くらいは解けたかもしれない、というのも反省点だった。
問題の見極めは先程も書いたが勝負感のようなものも問われる領域であるため、久々に解く分には難しく感じたわけだが、受験生にとっても難しい点だったのではないだろうか。
全体を通しての所感
「共通一次試験史上最も難しい」という触れ込みだったため、正直なところ0点も覚悟して臨んだのだが、無対策、無勉強のわたしでも平均点くらいは取ることができた。
そのため、受験生の上位層は80点以上を問題なく確保できたのではないだろうか。
全体的に計算問題が多く、答えがきれいな値になっていないことから不安感が付き纏い、手間がかかる割に各問の配点が低い、といったあたりも、受験生を苦しめた理由の1つかもしれないと感じた。
「統計とデータ」を仕事で使っている身としては、「計算はエクセルがやるので、もっと統計結果の解釈とかを問うたほうが良いのではないだろうか」というのが正直なところであった。相関係数を出させる、といったような算出式さえ知っていれば電卓を弾けば誰でもできるような計算問題を出すのは意味が薄いだろう。
また、個人的なことではあるが、計算力が元々そこまで高くないと思ってはいたが、やはり頭を使ってないと顕著に計算スピードが落ちるな、ということも大いに痛感した。
如何に普段、脳死状態で生活しているかがよく分かる。
私事ながら、今後も数学の勉強は続けていこうと思う。
個人的には騒がれていた程に難しい問題ではなかったと思うが、全国平均は大幅に下がっているのは事実であるし、例年と比べると難化しているのだろう。
試験が難化すると想定よりも点数が伸びなくなるため、これからの国立2次試験や私立入試に際して不安になるかもしれない。
しかし、試験の難化は恐るべからずだ。
その根拠をこちらの記事にて分析したので興味のある人は合わせて読んでほしい。
編集後記
わたしが受験生だった頃、なぜか受験に対する関心の高かった我が父は、勝手にわたしのかばんから模試の問題や入試問題などを引っ張り出していき、自分で解、お前はここを間違えた、ここを落としたと、全くありがたくないフィードバックをしてきた。
塾の先生や学校の先生もそうだ。自分の担当科目だけを解いて、この問題はこうだ、あの問題はどうだ、と解説や分析をしてくる。
大人はずるい。自分の得意科目だけを、時間も測らずに、試験場での緊張感も味わうことなくリラックスした環境で解き、解説やアドバイス、時には説教までしてくる。
しかし受験生が経験しているものは、もっと過酷なものだ。
一日に何科目も受けることで疲労は蓄積してくるし、前の科目の出来不出来が精神面にも大きな影響を与える。無論、問題だけではなく試験時間との戦いもあるのだ。
そういった苦労を一切せず、偉そうに講釈を垂れる大人が、わたしは嫌いであった。
わたしも普段は働いている身だし、近年はコロナもあるので、受験生の迷惑になりたくないという意味もあわせて、試験会場で試験に臨むというわけにはいかない。
しかし、せめて、という思いで同じ試験時間で共通一次を解いている(あの緊張感ある試験会場の設定までは用意できない)。
全科目、英語のように高得点が取れればこういう記事も少しは映えるものだろうが、国語や数学をみてもらう通り、そうかっこよくはいかない。
しかし、試験時間をしっかりと設定して解いているからこそ、有益な気づきがあるし、受験生のためになるようなこういう記事のネタも浮かぶ。
同じ条件でやるからこそ同じ目線で受験生に話すことができると思っている。
少なくとも、これからも出来得る限り、同じ目線で記事を書くことは続けていきたい。