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2022/12/9

【国立大学編】受験とお金

【国立大学編】受験とお金

前回の記事では受験には相応にお金がかかるという内容を書いた。

本記事では、受験に受かったあと、国立大学に通うためにかかる費用を一通りまとめていく。国立専願でもなければ受験料だけでも少なくない金額がかかるわけだが、いざ受かったとしても様々な費用がかかる。

国立大学だから安く済む、というわけではなく、あくまで私立や留学に比べて相対的に費用が抑えられるということを把握しておこう。

 

入学料

大学に入学するのには入学料がかかる。

国立大学は一律で標準額が決まっており、入学料に関しては282,000円となっている。

平成22年度国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について

前回の記事では「私立大学の検定料だけでも3つも受ければ十万円を超えてくる」などと書き、受験にはお金がかかるとしたが、入学するだけでもそれを遥かに超える金額がかかる。

Apple製品のパソコンが余裕で買えると思えば、かなり高額だと感じるのではないだろうか。

授業料

大学で学ぶには毎年授業料を払う必要がある。

こちらも入学料と同じく国が標準額を決定しており、年間の授業料は535,800円となっている。毎年払う必要があるので、4年制大学を4年で卒業できた場合には2,143,200円となる。

 

令和四年度の東京大学では以下のようにサイトに載っていた。

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/tuition-fees/e03.html

標準額は国で定められており、±10%までは大学側で増減も可能であるのだが、ほとんどの大学が上に挙げた額と変わらない費用をとっている。

何故か文部科学省のページが平成22年度から更新されていないのだが、その時点で「特定の研究科において、標準額と異なる額に設定」とされているのは2大学に留まる。

月に5万弱、と考えると支払えないこともないだろうが、4年間通しての金額を知ると、大半の学生にとっては相当な高額に映るだろう。

国立大学の費用は安い?

文部科学省の出している費用の推移をみてみると、40年以上前は国立と私立では授業料に五倍近くの差があり、国立大学は明らかに費用を抑えて教育を受けることが可能だった。

もちろん物価をはじめ(学生運動などもあったことをなどもあり)状況は全く違うのだが、それでも「新卒の初任給で年間の学費を支払うことができた」などという話をたまに聞くことを思えば、明らかに負担は大きくなっているだろう。

平成の中頃には授業料の値上がりは止まったが、仮に学生が自身で用意することを考えれば、進学さえすれば道が拓けるという状況とは決して言えない。

国立専願など相当の覚悟を決めて学習に励めば、人によっては受験費用を抑えられるかもしれないが、その後に学費を支払うことさえ苦しい人も当然いる。親の収入格差によって教育格差が生まれるというのも首肯できる話である。

ただそれでも、現代の日本で私立に進学するには平気でその倍以上の金額がかかる。

それを踏まえると、国立への進学は間違いなく学費を抑えることができると言えるだろう。

勉強以外にも、大学は友人やサークル仲間といった人間関係を広げたり、専門分野のプロフェッショナルの指導が受けられたり、最新の設備を使った教育を受けられたり、とメリットは計り知れない。しかし、自分から動かなければ十全に享受することはできないだけの金額がかかるとだけ肝に銘じておこう。

それ以外の費用

例えば上京して一人暮らしをはじめるとなれば、敷金礼金から引越し費用、家財の購入から日々の家賃まで更にお金がかかる。そうでなくても、距離によってはそれなりに交通費もかかるため、諸々の金額は大きく変わってくるだろう。多くの人は中学高校よりも遠くの大学へ行くことが多くなるだろうため、相対的に費用はかさむ。

全国大学生協連のデータを見てみると、大学生がどういった費用感で学生生活を過ごしているのかが垣間見えるので、確認してみてほしい。

他にも教科書の値段が高くなったりするが、この辺りは是非早めに上級生との繋がりを作って融通してもらうなり中古を手に入れるなどしてみることをおすすめする。また、授業によっては買わせるだけ買わせて全く使わないことなどもあるので、本当に切り詰めたい人は実際に授業を受けてから購入するか検討するのもよいが、あくまで自己責任で判断してほしい。

奨学金

一時期は第二種の奨学金は他の教育ローンなどよりも金利が高いことを揶揄されていた奨学金ではあるが、大学で本腰をいれて勉強するために生活費等を気にしたくない場合には強い味方になる。(ちなみに、近年は金利は下がってきている https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/riritsu/2007ikou.html

日本学生支援機構

https://www.jasso.go.jp/shogakukin/

第一種は無利子で第二種は有利子、入学時の一時増額貸与、被災・家計急変時の給付奨学金、と一口に奨学金と言っても色々ある。そのため、きちんと調べてから合った制度を選択しよう。

また、日本学生支援機構にも近年返済不要の給付奨学金制度ができたり、それ以外にも給付型の奨学金を行っているところもある。また、上記項目の入学料・授業料に関しても大学の設定した基準により免除・減額がある場合もある。

主に世帯収入の基準が設けられており、経済的に厳しい人のためのものではあるが、条件が揃っていれば受けられるものであるため、事前に志望校や給付型の条件を参照するのも良いだろう。

国立私立卒業後の給与比較

最後に、かかる費用だけでなく、将来的に稼ぐことのできる金額の期待値を載せよう。

ダイヤモンド・オンラインの出身大学別年収ランキングにおいて、30代の平均給与の比較が載っている。あくまで平均であるためトップ層とそれ以外ではどの大学だろうと大きな差があるはずだが、あくまでこの表を信頼するとすればTOP30のうち18が国立大学であり、TOP10内に6校、TOP3も国立大学となる。

門戸が狭く、学習する科目も多くなるのだが、かかる費用と稼げる金額を考えると私立よりも優れている面があるといっても決して間違いではないだろう。

最終的にはあくまで本人の努力や運によってくるが、期待値が高い選択肢として国立大学を勧められるのも納得の結果であるといえる。

編集後記

お金の視点にたって国立大学のことを書いてみたが、結局のところ本人の状況によってかかる費用はそれぞれであり、奨学金を借りるも借りないも自由なわけである。そのため、国立に入れても入学と受講で大金がかかる、という一つの事実以外には余り意味が無いように思えた。

 

お金をかけただけ学ぶことができるのか、良い出会いがあるのか、やりたいことを実現できるのか。それで自身(と保護者)が納得でき、お金を払う覚悟ができるかということだと個人的には思う。

 

バブルを経て上がり続けた授業料がそのままになっていることのほうがよほど問題であり、端的に言って大学進学費用が高すぎると思う。政府の金の使い方を一意見でどうこうできるものではないが、国立での授業料が下がれば競争力が増し、より優秀な人材を集約することができるだろう。あぶれてしまう人たちなども問題になるかもしれないが、大学の数的には受け入れるだけの土壌があるはずであり、子どもの数が減っているのだから受け入れる数をそもそも増やすべきだと思ってしまう。

 

居酒屋で適当に話している親父のような言い分になってしまうが、防衛費などの増額も大事であっても、それ以上に教育費に税金がかけられていないことがあまりにも問題だと感じてしまう。

 

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