予備校vs個別指導vs通信教育 メリットとデメリット
大学進学を目指す多くの人は、受験に向けて塾に通うだろう。
塾というと、駿台や河合塾など予備校に代表される集団授業形式の塾、そしてTOMASやスクールIEなどの個別指導塾がある。はたまたZ会や進研ゼミなどの通信教育系を好む人もいるかも知れない。
どのような形態の塾に行くべきか迷う人のために、この記事ではそれぞれの授業形態の学習塾のメリット・デメリットについて紹介したい。
別の記事でも予備校の活用方法について書いているのでそちらと合わせて参考にしてもらえると幸いである。
まずはじめに「進学実績を塾の力と思ってはいけない」
毎年3月下旬から5月上旬頃、各種学習塾の、進学実績が掲載された広告が届く。
今年は東大◯人合格、医学部◯人進学、といった具合に、どこの学習塾もその数の高低を競うことになる。
わたしも中学生、高校生の時はこういった広告を参考にどこの学習塾に入ろうかと検討をしたものだが、学習塾の宣伝にまんまとハマってしまっていたとわかったのは、悲しいかな受験が終わってからのことだった。
大学生になり、学習塾で講師としてバイトをするようになって気づいたのは、進学実績=塾の力というわけではないということだ。
広告には大抵、何人か代表的な生徒のコメントも合わせて記載してあるのだが、次に目にする機会があれば、彼ら彼女らの出身高校を注意深くみてほしい。
東京大学理科1類合格 ◯◯くん(筑波大学附属駒場)
京都大学法学部合格 ✕✕さん(桜蔭)
北海道大学医学部合格 △△くん(札幌南)
…
おわかりいただけたかと思うが、何が言いたいかというとそもそも良い大学に受かる学生は良い高校に通っているということだ。
彼らのようなトップクラスの受験生であれば、正直どこの塾に通っていても志望校に受かっただろう。
全く聞いたこともない高校から最難関大学への合格実績を出しているのなら、それは塾での学習のおかげなのかな、とも考えられるが(もちろん本人の果断の努力があったのだろう)、毎年東大や京大に二桁三桁と合格者を出している超トップ進学校出身の場合、果たして学習塾と高校、どちらの貢献が大きいのかは判然としない(身をおいている時間が長いという意味では後者のほうが寄与度が大きいのではないかとさえ思えてしまう)。
したがって、塾がアピールしている進学実績だけで通う学習塾を決めるというのは非常に危険だ。
うまく行けば将来的に、あなたも広告に載るような合格者の一人になるかもしれない。
ただそれと同等かそれ以上に、その他有象無象の一人になってしまう可能性もあるのである。
予備校(集団授業)のメリット・デメリット
さて、広告を鵜呑みにして塾を決めると痛い目に合うかもしれない、ということをわかっていただいたところで、続いてはそれぞれの形態の塾のメリットやデメリットを抑えていこう。
まずは、大学受験のための学習塾で最もイメージされやすそうな、集団授業を主な授業形態とするタイプだ。いわゆる予備校と呼ばれる塾である。
予備校のメリット
- 圧倒的な合格実績に基づいた良質な講座や教材
- 自習室や模試の予約のしやすさなど、授業以外の副産物も充実
- 全国展開されていて、通いやすい
予備校のデメリット
- 集団授業が主体のため、各人のケアはおざなりになりがち
- トップ層が手厚いサービスを受ける一方で、そうでないと割と扱いが適当
- 勉強した気になってしまうという問題
それぞれについてみていこう。
予備校のメリット
過去データに基づいた良質な講座や教材
大手予備校の最大の強みはなんと言っても、これまで培ってきた合格実績に基づいた分析・研究だ。
難関校であれば、学部ごとに入試研究や出題傾向、受験生動向などを研究し、それらが各種講座や教材に反映されている。◯◯大学対策講座というように大学特化型の講座もあり、より自分の志望校に的を絞った講義を受けることができるだろう。
自習室や模試の予約のしやすさなど、授業以外の副産物
また、集団授業形態ではあるものの、各予備校は快適な自習室もしっかりと整備している。
夏は涼しく、冬は暖かく、静かで集中できる環境づくりを可能にするのも大手だからこそ為せる技だ。
さらに、駿台であれば駿台模試、河合塾であれば全統模試というように、自分が通っている塾の主催のものであれば無料、あるいは優待価格で模試を受けることができる。
特に昨今はコロナ禍を受けて、模試の受験生を自校の生徒に限るような動きもある。
模試の予約のしやすさや受けやすさというのも予備校生の大きな特典だ。
全国展開されていて、通いやすい
最後に、大手予備校は全国展開されて通いやすい。
どれだけ良い予備校だろうと、通うのに片道数時間かかるような環境であれば本末転倒である。地方になればなるほどこの問題は大きくなっていくことになるのだが、大手であればあるほど通いやすいというのは事実であるだろう。
それに加え、有名講師や人気講師を多く抱えている。講義が開催されている校舎が近ければ人気講師の講座を直接受けることができるし、遠方であったとしても映像授業などを通じて受講することができるだろう。
有名講師や人気講師は、評判になるだけのものが確かにある場合が多い。
わかりやすい、面白い、やる気が出るなど、一般的な講師にはない魅力やカリスマ性がある。
予備校のデメリット
各人のケアはおざなりになりがち
次にデメリットだが、やはり集団授業であるがゆえに、受験生一人ひとりのケアはおざなりになりがちだ。
どの予備校でもチューターというようなお世話係がつくことが多いのだが、一人で十数人を担当することになるだろうし、そもそも大半は大学生のアルバイトなわけで、そこまで質の高いケアをしてくれるわけではない。
トップ層以外の扱いが適当になり得る
また、大手であるがゆえの宿命かもしれないが、トップ層の学生に対しては非常に手厚いサービスを提供してくれる一方で、その他大勢は最大限のバックアップを受けられるとは言い難いのも事実だ。
これはわたしの浪人時代の話であるが、6月あたりに河◯塾の浪人コースに入りたいと相談したところ、はじめは「学期の途中から入ることはできない」と断られたが、現役時代の模試の結果を見せたところ「問題なく入れます」と手のひらを返された経験がある。つまりは、模試をはじめとする各種成績によって、受けれられるサービスが変わってくるのである。
不公平ではないか、と思われるかもしれないが、予備校も慈善事業で経営しているのではない。最難関大学へ合格する可能性が高く、合格してくれれば翌年の大事な広告塔となる人材を優先することは至極当然といっていいだろう。
もちろん、おおっぴらにそうであるとは言わないだろうが、制度として特待生制度(スカラシップ制度)があることがその事実を表している。学生は学費が減り、予備校は合格実績をより良いものにできる、Win-Winであるからこその好条件だ。
その反面、合格するかどうかわからない、言葉は悪いがあまり宣伝効果にならないような学生の扱いは割と適当なものになる(ことが多い)。
全国展開されているような大手予備校であれば日本中に数万人レベルの在校生を抱えていると推測されるが、合格実績に掲載されるのはせいぜい数千人の実績だけだ。(しかも延べ数である)
華々しい合格者の足元には、日の目を見ることもない無数の屍が転がっていることを忘れてはいけないだろう。
勉強した気になってしまう
最後に、これは予備校の問題というよりも受験生側の問題でもあるが、集団授業はどうしても受け身な勉強になりがちだ。
講義中に多少の問題演習はあるかもしれないが、基本的には講師の解説を聞く、板書をノートに書き写す、など受動的な勉強スタイルが中心となる。
90分~150分という長時間の講義となれば、きちんと聞いて内容の理解に努めることもできる一方、適当に聞き流していても時間は経過していく。同じ講義であっても、人によってその効果は大きく異なる。
予備校に行って、席に座って講義を聞いていることを勉強時間だと思わないほうが良い。
授業で習った内容を自身で噛み砕いて理解する時間がなければ、効果は半減どころか無いに等しいと言っても過言ではないだろう。
これは余談であるが、我々がインタビューしてきた難関校合格者は、勉強時間を講義の時間抜きでカウントしていることがほとんどだった。あくまで授業は足りない知識を補う、流れを理解する等で線引をし、自習によって学力を高めていたことを補足しておこう。
個別指導塾のメリット・デメリット
個別指導塾は、1:1の完全個別指導もあれば、2:1や3:1など生徒複数人に先生が一人という場合もある。大手予備校系列の個別指導塾もあれば、個別指導特化型の大手学習塾もある。こういった個別指導塾ではどのようなメリット・デメリットがあるのかをみていこう。
個別指導塾のメリット
- (集団授業と比較して)生徒一人ひとりにより目が届く
- 先生との距離が近く質問がしやすい
- 指導内容などを細かくカスタマイズ可能
個別指導塾のデメリット
- 講師・教材のレベルが低い(アルバイトが多い)
- 過去の合格実績が弱く、ノウハウなどの蓄積も少ない
- 自習室などの設備が充分揃っていない
個別指導塾のメリット
生徒一人ひとりにより目が届きやすい
個別指導最大の強みは、予備校と比べて生徒一人ひとりへ目が行き届きやすいことだ。
集団授業であれば、正直なところ受け持っている生徒の顔と名前、在籍高校や志望校が一致しないことはざらであるだろう。しかし個別指導であれば、多くの授業で1年間を通じて同じ講師がついてくれるので、より深い相互理解が可能となる。
良し悪しはあるが、講師と仲良くなることでモチベーションがアップしたり、両親や友達にはできない相談事や不安を打ち明けることができ、メンタル面でも心強い存在になることもある。生徒と講師の程よい距離感を築くことができるのが個別指導塾の良さだ。
先生との距離が近く質問がしやすい
集団授業であれば、授業中に質問することはなかなか気が進まないだろう。
授業の後に聞きに行くことも可能ではあるが、基本的に講師は数分くらいしか対応してくれないし、長くなる場合には日を改めて、なんてこともよくある。
その点、個別指導であれば質問し放題、疑問や悩みも打ち明け放題だ。
そういう意味でもやはり、講師がより近い存在として感じることができるのはメリットと言えるだろう。
指導内容などを細かくカスタマイズ可能
集団授業であれば、ある一定のカリキュラムに従って授業が進んでいく。
途中であなたの理解が追いつかなくなろうが、あなたが学校で定期試験に差し掛かろうがお構いなしだ。ときには学校の内容と全く異なる内容の講義を受けることになったり、あるいはレベルの違う講義にあたることもある。
一方、個別指導塾であれば、定期試験前は学校のテスト範囲を指導してもらえ、わからない単元などがあれば時間をかけて教えてくれる。
もちろん、個別指導であっても年間のスケジュールや学習計画というものはあるが、予備校ほど厳格ではない。このようなカスタマイズ可能な柔軟対応は、個別指導の強みの一つである。
個別指導塾のデメリット
講師・教材のレベルが低い
メリットを眺めていると、予備校よりも個別指導塾のほうが魅力的に思えてきたかもしれないが、ここからはデメリットである。
まず、個別指導塾の講師および教材のレベルは総じて低い。
講師は多くの場合大学生のアルバイトであることをはじめ、社会人講師であっても、この人大丈夫か?と感じるレベルの人が堂々と先生をやっていたりする。
中にはめったにお目にかかれない東大主席レベルの人や元有名講師といったエース講師もいるが、大部分はそういう問題のあるレベルであることには注意が必要である。
また、カスタマイズ可能という話を書いたが、特にチェーン系の個別指導塾は自社作成の教材の利用をほぼ強制されるという点も問題だろう。これが質の高い教材であれば問題はないのだが、市販の教材以下の超基本的な内容の問題集であったりする。
生徒が非常に優秀であり、かつ理解のある塾長であればこっそり、より難しい教材や好きな教材を使ってくれることもあるが、何ら価値が見いだせないような低レベル教材を買わせて儲けようとする塾も多々ある(というかほとんどがこのビジネスモデルである)のが実態だ。
ただ、市販の教材を塾でやるというのは著作権的な問題もあるため、一概に個別指導塾を責められない側面もある、という点は擁護しておこう。
過去の合格実績が弱く、ノウハウなどの蓄積も少ない
個別指導塾のほうがボリューム層の生徒レベルがやや低いということでもあるが、合格実績が弱い。
合格実績が弱い、というのは前項の予備校で書いたように在籍している学生のレベルにも左右されるものであり、直接学生に関係する要素ではないかもしれない。しかし、どういった理由であれ難関大学に入った人が少ない、というのは変わらぬ事実なのである。
また、ノウハウの蓄積が少ないというのも大きい。
これは多くの講師が大学生アルバイトであることと無関係とは言えないだろう。教える側が育ってきても、大学卒業とともに入れ替わってしまい、充分な実力を持った講師が少ない。また前述の通り、オリジナル教材も質はイマイチである。
受験勉強を戦略的にすすめるにあたり最も重要であるともいえる研究や分析において、大手予備校より数段劣ると言わざるを得ないだろう。
自習室などの設備が充分揃っていない
大手予備校が「校舎」と言えるような立派なビルを持っているのに対し、個別指導塾は基本的にテナント・ビルの1フロアで展開されている。そのため、自習室などの設備が贔屓目に見ても充分揃っていない。
自習室が個別に設けてあれば良い方で、塾によっては空いているブースやその辺にある机が「自習室」ということになることも多い。
静かで落ち着いて学習できる空間が全てにおいて良い、とは言えないかもしれないが、もし自宅に自身の部屋が無い状況であれば、落ち着いて勉強するスペースを確保するというのは意外と厄介な問題になるかもしれない。
通信教育のメリット・デメリット
通信教育に関しては、予備校や個別指導塾など実店舗型学習塾と併用する受験生も多いだろう。あるいは大手予備校が進出していなかったり、アクセスが悪かったりするような地域の受験生にとっては有力な選択肢になるかもしれない。
通信教育にも様々あるが、ここではZ会を前提に話を進めていく。
通信教育のメリット
- 教材が良質である
- 自学自習が身につく
- しっかりとした合格実績を有し、ノウハウの蓄積もちゃんとある
通信教育のデメリット
- 能動的学習ができない人にとって全て無駄になる可能性がある
- メンタル・ケアなど精神的サポートが皆無
- 模試の申込みや戦略策定などを全て自分でやらなくてはならない
通信教育とはいえ、実店舗をもつ他の塾と比べても面白いメリット・デメリットである。
通信教育のメリット
教材が良質である
Z会は市販の教材も手広く展開しており、その質が非常に良い。
予備校や個別指導では、教材自体の良し悪しもさることながら、講師の力量に依存する部分が大きい。そうすると何が起こるかと言うと、教える人が上手いと教材の質の悪さが気にならないことがあり得るのだ。
しかし、通信教育では講師の力に頼ることが一切できない。
そのため、教材自体が良質でなければ、それが直接受講生の流出に繋がってしまうことにもなる。そう考えると、これだけ支持されている通信教育の大手の教材が良い、というのは当然なのかもしれない。
実際にお世話になったわたしとしても「教材の質は非常に良かった」というのが正直な感想だ。科目別、大学別、レベル別に多様なコースを設けているため、自分に合った最適な教材やプログラムがきっとみつかることだろう。
自学自習が身につく
予備校や個別指導と比較すると、通信教育は比べ物にならないほど自学自習が身につくと言えるだろう。
実店舗型学習塾であれば、極端な話ではあるが椅子に座って机に向かってさえいれば、とりあえずは勉強したような感覚になれる。そこに講義内容が身についていつかどうかは一切介在しない。
しかし、通信教育であれば、自身でしっかりと勉強スケジュールを組み、定期的に送られてくる教材を解き、課題を提出し、添削を受けて復習する、というプロセスを繰り返し行うことになる。
添削結果などをみながら、自分に足りないのはどういったところか、何が苦手で何が得意なのか、そういった自己分析をし続けなくてはならない。これは一見大変なようだが、勉強とは本来自己完結型の活動であり、誰よりも自分が一番自分のことに熱心にならなくてはいけない。そういう意味では、通信教育を通じて自学自習を身につけることは、受験だけでなく、その後の人生においても大いに役に立つ。
大学に入って何をすることになるか?と言われれば、勉強なのだ。しかも受験勉強以上に自分で勉強する必要がでてくる。そういった意味で、勉強姿勢を身につけるのに最も適した形態かもしれない。
しっかりとした合格実績を有し、ノウハウの蓄積もちゃんとある
実店舗型学習塾と比較するとあまりおおっぴらに広報活動をしていないこともあるため、Z会の合格実績を知っている人は少ないかもしれない。
しかし、実は大手予備校にも引けを取らない、個別指導塾とは比較にならないほど立派な合格実績を毎年叩き出しているのだ。
データの蓄積、入試研究や出題傾向もしっかりと行っており、それが巡り巡って良質な教材の提供につながっていることを考えると、しっかりと自学自習するタイプの人が上手くハマれば相当良い大学に行けるだろうと納得できる。
ただし前述の通り、通信教育は予備校や個別指導塾と併用している受講生も相当数いると考えられるので、Z会だけの力と考えてしまうのは早計であることは最後に補足しておこう。
通信教育のデメリット
能動的学習ができない人にとって全て無駄になる可能性がある
さきほど、通信教育は自学自習の習慣が身につく最適なツールであると書いた。
しかし裏を返せば、自学自習が身についていない人であれば、当然ながら送られてくる教材をやらない、課題を出さない、復習しない、という結果だけが残り、金をドブに捨てることになってしまう。
実店舗が無いことは、同時に自習室も無いことになる。そうすると、学校や近所の図書館、自室が勉強場所となるが、学習塾の自習室ほど快適な空間でなく、必然的に誘惑も多くなる。
同じ目標を目指す仲間(ライバル)が身近に感じられないこともモチベーションに関わるポイントだろう。
そういった要素全てを加味すると、通信教育のみで学習を進めることは、意志が弱い人には不向きであると言わざるを得ない。
メンタル・ケアなど精神的サポートが皆無
また、予備校のチューターや個別指導の先生といった、親や友達以外の相談相手という特殊な存在が通信教育では当然ながら用意されない。
Z会の課題添削は進研ゼミの赤ペン先生のような距離感ではなく、個人的な相談などにのってもらえるわけではないため、そういった心の拠り所のような存在が欲しい学生は物足りなく感じるだろう(赤ペン先生も個人の相談にのってくれるのかどうかは知らないが)。
個人的な意見ではあるが、高校在学時から宿題や定期試験の勉強を、誰に言われるでもなく自宅で進められるタイプの人であれば全く問題ないとは思うが、テスト前に勉強会など開いていたタイプであれば孤独が耐えられないかもしれないので、そういった面からも受験戦略を考えていこう。
受験勉強は長期戦であり、よくマラソンに例えられる。
結局は自分で勉強を続けていくしか無いことは事実であるのだが、周りに支え合う人がいるかどうかといった点は、人によっては決して馬鹿にならない重要なポイントであることは意識したほうがよいだろう。
模試の申込みや戦略策定などを全て自分でやらなくてはならない
チューターなどの精神的サポートが無いだけでなく、勉強スケジュールや併願戦略を一緒に考えたりアドバイスをくれたりする存在も、残念ながら通信教育にはない。
もちろん、定期的に送られてくる受験情報誌にはそういった内容の情報提供はあるのだが、それらはあくまで参考になるに過ぎない。情報を自分の場合に置き換えて考え、戦略立案をするのは自分自身になる。
受験勉強をして、情報を集めて、併願パターンも考えて組んで、となってくると、周りに年上の兄や姉がいる場合のように、大学受験とはどういったものかを多少なりとも心得ている家庭でない限り、少し心もとないかもしれない。
こういったデメリットがあることを、直接的な問題になる直前期まで寝かせておくことはせずに、早いうちに対策をとっておく必要があるだろう。
編集後記
今回は、学習塾というものを集団授業(予備校)、個別指導塾、通信教育という3つに分解して、その良し悪しを紹介してきた。自分との相性や好みなどを踏まえながら最適な選択を行うことで、あなたの受験生活を支える心強いサポーターとなるだろう。
高校受験も含めれば、わたしは3つの塾形態を全て生徒として利用したことがある。
また、大学時代のアルバイトでは半個別、半集団の中堅塾で講師を経験した。
したがって、人並み以上には各業態の良い面も悪い面も理解しているつもりだ。
今回は生徒の視点から書いたためあえて言及しなかったが、実際の学習塾選びにおいては当然月々の授業料も考慮に入れる必要がある。
塾代をはじめ、教育費に関しては、親御さんもおそらくできる限りあなたの希望を叶えてくれるだろうから、まるで湯水の如く金が湧いてきて、いくらでも使えるように感じてしまうかもしれない。しかし、冷静に考えてみると、夏期講習だの冬期講習だの直前講習だの、毎回目の玉が飛び出るほど高額な授業料だったりする。
決して天からお金がいくらでも降ってくるというような感覚を持ってはいけない。塾で学習させてくれる環境というのは、とても恵まれており、1講義あたりに相当のお金がかかっている。へりくだれとは言わないが、家族への感謝を忘れずにいよう。
さて、毎度のことながら偉そうに講釈を垂れてきたわけだが、わたしは予備校に行こうが、個別指導塾に行こうが、やってることといえばペン回しの練習と可愛い子探しばかりであった。
それでも結果さえ出せば格好もつくのだが、受験には落ちまくったのだから目も当てられない。今だからこそ骨身にしみて考えることができる、というと更に情けないのだが、親には本当に申し訳ないことをしたと思う。
そんな感じのダメ高校生ではあったのだが、通信教育が一番捗ったなと思うのは、あながち間違っていないだろうと、これまた今になって思ってしまうのである。