一般選抜の特徴やスケジュール
先日、2022年の大学共通テストが終わった。
これからの時期、受験の本番期とも言える2月に入っていき、続々と試験が行われていく。
大学入試の選抜方法で最も一般的といえる、ほとんどの受験生が挑むことになる形式が、一般選抜方式だろう。
本記事では以前の選抜方式紹介記事よりも詳細に、選抜方式の特徴や大まかなスケジュールをまとめていく。受験戦略を練る際の参考になれば幸いである。
一般選抜方式の特徴
一般選抜は、入学試験の成績によって合否を決定する選抜方式である。
推薦やAOといった他の方式と比べ、高校在学中の成績は考慮されず、国公立であれば共通テストと二次試験、私大であれば学力試験(大学・学部によって共通テスト利用ができる等様々)を中心に合否を決めることになる。
そのため、大抵の場合「本番学力一発勝負」となっている点が最大の特徴となっているが、他の方式と違い複数回受けるチャンスがあるため、志望校・志望学科・併願校の選択によって各々の科目数やスケジュールが大きく変わってくる点も大きな特徴だろう。
受験生ごとに千差万別の受験スケジュール
例えば科目数であれば、国立と私立とでそもそも違いが大きい。
国立は共通テストで概ね5教科7科目が要求され、二次試験が独自の学力試験となる。
私立は3教科の学力試験が基本となるが、1〜2科目で済む場合や小論文が必要となる場合もある。
その上、国立でも「共通テストで数学を受けなくて良い」大学があったりするため、こういった差異はしっかりと抑えなければいけない。(参考:武田塾「数学なしで受験できる国公立大学」)
さらに、共通テストを利用する、と一口に言っても、志望校や学部によって配点が大きく違う点にも留意する必要があるだろう。
こういった違いは他にも多々あるが、試験の概要をきちんと把握しておくことは志望校攻略の第一歩、最低条件といってもいいだろう。
大まかな受験スケジュール
前項で、人によって受験スケジュールは千差万別だと書いた。
実際に、私立をどれだけ併願するか、どれだけの学部を狙うのかなど受験生ごとに全く違うスケジュールを過ごすことになる。
ただし、国立大学であれば二次試験前期が2月下旬、後期が3月中旬と決まっており、私立大学であれば1月下旬〜3月にかけて入学試験が行われることが多い。
国立の一般選抜の大まかなスケジュールは下図のようになる。
共通テスト利用などを使えばより早く合格が決まる場合があるが、私立にしろ国立にしろ2月〜3月にかけての発表が主となる。
国公立の後期で合格した場合などは入学手続きがかつかつになり、地方から上京する場合などは住む場所等も決めないといけなくなるため、すべての手続が完了するまでは終わったと思わず気をつけて過ごそう。
最も大切な情報は入試日、次いで願書期間
受験戦略、そしてスケジュールを作っていく際は、必ず各大学の公式サイト等から一次情報を取得しておこう。
特に重要なのは入試日、次いで願書の提出期間だ。
まずは志望校の入試日をきっちり確認し、それを基に戦略やスケジュールを組む。
どの大学を受けるかが決まれば、自ずと入試日も決まってくるだろう。
少し背伸びした目標校や手堅く受かるだろう大学など難易度別に受けるべき大学を見定め、入試日のブッキング等がないように設定していく。
昨今では明治大学の「全学部統一入試」のように、一度の受験で複数学部・方式へ出願ができる方法なども出てきているため、有用な情報を逃さないように気をつけよう。
少なくとも、募集要項さえ読んでおけば早々漏れることもないはずだ。
必須となる手続き
志望校が決まったら、なによりもまず募集要項と願書を用意しよう。どの大学を受験するにも必ず「出願」が必要になる。
入手先は大学で直接、大学公式サイトから入手、書店で購入、など様々だが、昨今の状況で最も確実な方法として、サイトで入手方法を参照するべきだろう。
中にはインターネットからの申込み以外できなくなった大学などもあるため、方法からよく確認して進めなければならない。こういった細かい作業は手間ではあるが、大学を目指すのであれば必ずやらなければいけないことでもある。志望校の決定と合わせ、早め早めに要項と願書の用意を進めよう。
願書作成の注意点
願書作成は、募集要項の記入例を見ながら確実に記入していこう。
こういった堅い文書の場合、筆記用具が指定されていることがほとんどであるため、必ず指示に沿って進めていこう。熱で消せるボールペンや、黒以外のボールペンが禁止といった制限は多い。
また、今や多くの大学が導入しているネット出願においても、紙の場合同様に間違えが無いように気をつけよう。こればかりは本人が気をつけるしか無いため、不備が無いように進めるしか無い。
また、願書作成の前に進めておきたいのが調査書の請求だ。
受ける大学数分必要となり、多くの場合は即日の発行といかないため、ギリギリまで放っておくと間に合わなくなってしまう可能性がある。
直前期には学校側に請求が殺到し、余計に時間がかかってしまうことも想定されるため、こちらも早めの請求を心がけよう。
最後に、検定料を振り込んだ後、実際の提出となるわけだが、もしも郵送の場合は「書留」が必要かどうかなどもチェックしておこう。
ネットでの出願の場合でも、支払いの控えや調査書を送る必要があったりする場合もあるため、申し込みして終わり、と高をくくらないよう注意しておく必要がある。
どの段階においても、きちんとお知らせを読むようにすれば問題ないのだが、後回しにすればするほど焦って見落としてしまう可能性がある。
複数大学を受験する場合には、記入量も手続きの手間もバカにできない分量になる。それらを加味した場合、最も有効な対策は早めに進めていくことだ。
受験校や受験数にもよるが、多くの場合大学受験にはかなりの金額がかかるため、保護者と良く話しておくことも大切である。
煩雑な手続きとなるが、確実に一つずつこなしていこう。
編集後記
一般選抜の特徴と大まかなスケジュール感をまとめてきたが、改めて志望校決定と受験勉強の早期開始の重要性を感じることになった。
そもそもスケジュールは個々人の差が大きく、一般論でまとめて片付けることができない領域である。
当人の学力や志望校がわからなければ、「目標を定めて適切に勉強し、試験に合格できるだけの実力を備えた上で、必要書類を不備なく提出できれば大学に入ることができる」という具体性のないことしか言えないだろう。
強いて言えるとすれば、「早くはじめる」ことはそれだけで大きなアドバンテージである、とアドバイスできるくらいだろうか。
受験とは関係のない話になるが、昔読んで面白かった本に「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」というビジネス書があった。著者は元マイクロソフトの凄腕プログラマーであり、嘘かホントかわからないような話がばんばん出てきて読み物として単純に面白かった。そして、ビル・ゲイツがキレる話より印象に残ったのは、その人が一貫して「仕事はさっさと手を付けてできるだけ早く完成させ、余裕をもて」という旨の内容を繰り返し書いていたことだ。
・高校時代の著者が当時まだ世に無いソフトを開発したときも、まずは最低限のプロトタイプを作ってアスキーに売り込みに行った(結果として改善案を話し合うことができてソフトが完成した)
・10日でできるか?と聞かれた仕事は2日で終わらせてから、可能だと回答していた(2日で終わらない場合には10日では出来ないと回答した)
・大きな社内プレゼンするとき、相手チームが壮大な設計図を作っていたのに対し、すでに動くプロトタイプを作り、それを動かしながらプレゼンして見せた(結果としてコンペに勝利し、彼のチームが開発することになった)
例に出したプレゼンは、Windows95開発時の話だそうだ。
どれも非常に優秀で仕事のできる人の話と思って読んでいたが、いずれにしても圧倒的に早く終わらせて余裕をもつ、ということが話の本筋だった。結果と成果をしっかり出している人だけに、とても力をもった主張だと思った。
不備があったときでも、時間に余裕があれば修正できるかもしれない。どの段階でも、早め早めを心がけて、手を付けていこう。