学習習慣をつけ、継続的な学習を進める
勉強をしないといけないのに、できない。
そういう人はわたしの想像している以上に多いと思う。たとえ受験生だろうが浪人生だろうが、スマホはいじるしYoutubeも観てしまう、という人がたくさんいるだろう。
本記事は、そういった誘惑の一切を断ち、勉強に邁進している人にとっては全く参考にならない内容だ。そもそも、そういった人は環境をひたすら勉強することだけに特化させ、脇目もふらずに勉強しているはずなので、ここを目にすることすら無いだろう。
この記事までたどり着いた、ということは、少なくともなんらかのデバイスで検索をしているわけだ。
息抜きや休憩時間をしっかり設定し、その時間内にあっても勉強方法に関しての検索をしていたのであれば何も問題はない。むしろ勤勉であると舌を巻いてしまう。
しかし、大抵の場合はまだ受験が本格化していない、もしくは勉強に集中しきれていない人が、集中する何かいい方法がないかとネットにアクセスしているのではないだろうか。
そういった人に、本記事では「習慣化」というノウハウをお伝えしよう。
勉強が全く習慣になっておらず、全然手に付かない人ほど有効な方法であるため、是非試してみて欲しい。
「勉強しないと」とは思うけど
受験生なのに勉強が進まない、将来のためにもしておいたほうがいいと思っている、成績が下がるとスマホやゲームを没収されてしまう…勉強しなければいけない理由は様々だろう。
しかし、ただやらねばと思っているだけでは成績は上がらない。誘惑に負けて別のことに時間を使ってしまえば、当然ながら勉強はできないし成績も下がっていってしまう。
現代は誘惑が多すぎる
そもそも、現代社会は昔に比べて誘惑が多すぎる。
ほんの数十年前にはなかったテレビが各家庭に当然のように設置され、十数年前には日本で流行ることはないと言われていたスマホは今や一人一台持っているといっても過言ではないレベルに普及している。
動画サイトはYoutubeを筆頭に24時間消費しきれないだけのコンテンツを吐き出しているし、もはやテレビが無くともNETFLIXを開けば面白い作品が好きなだけ観られる。
おすすめされる作品は大抵面白く、友人との話の種も尽きることがない。
Amazonなどのネットショップを開けば必要なものは大抵なんでもワンクリックで揃えることができるし、SNSで気の合う友人をみつけて一緒にゲームをするなんてことも簡単にできるようになった。
いまやネット回線さえあれば時間の潰し方は無限と言ってもいいだけの娯楽が存在している。
筆者が受験生だった時期はもう10年以上前のことになるが、娯楽の量に関しては間違いなく桁外れに増えているだろう。
そんな、世界中のエリートがありとあらゆる娯楽で時間を奪いに来ている環境下で、それらの誘惑を振り切って勉強をする、ということは、どんどんと難しくなってきているのではないだろうか。
勉強を習慣化していくには
さて、そういった誘惑を毎度振り切って、きっちりと勉強をする、というのはかなり困難なことだろう。
言い方は悪いかもしれないが、勉強ができない人はそういった困難から逃げ続けた結果として、落ちこぼれてしまうというわけだ(厳密にいえば学習障害や知的障害等の問題も大いに絡んでくるが割愛)。
その感覚はよくわかる。
現に社会人で勉強をしている人はかなり少なく、楽なほうに逃げ続けてしまうのは人間の常だ。将来のためとは言っても、ちゃんと勉強するのは思いの外大変なものだ。
しかし、一度習慣にさえなってしまえば、問題なく勉強をすることができるようになる。これは別に大げさに語っているわけではなく、人間の脳の働き的にそうなっているからだ。
勉強という大変な行程を習慣にするためのポイントを紹介していこう。
最初の一歩が一番大変
大抵のことは、最初の一歩が最も大変だ。
例にもれず、勉強を習慣化するときも、はじめが一番難しい。
先程も挙げたように、ありとあらゆる誘惑を振り切って勉強を開始しなければいけないからだ。
ただ、一度やり始めてしまえば、最初ほどの誘惑を感じること無く続けることができる。
よくたとえ話にあげられるが、宇宙にロケットを飛ばすとき、発進するときに最も多くのエネルギーを消費する。そして、飛び立ちさえすれば、後は少ない力で驚くほど遠くまで飛んでいける。
まさにその状況と同じなのだ。
発進時、最もエネルギーを使うタイミングで、試してみて欲しいことがある。
「トリガー」を用意する
最初の一歩、作業をスタートする際に、きっかけとなる動作を決めてみよう。
こういった「きっかけの動作」を「トリガー」という。
横文字にするとなんだか効きそうな気がしてくるが、トリガーを設定して、これを作業開始の呼び水とするのだ。
トリガーの例
わたし の場合、腹回りが気になって筋トレをはじめよう、と思っても、なかなか習慣にならなかったことがある。そのとき、「トイレにいく」という毎日必ずすることをトリガーとして設定してみた。
トイレから帰ってくるたびに、スクワットをするようにしたのだ。
目標にしてすぐは問題なくやることができたが、時間があいたり、日を跨ぐと忘れてしまったりもした。しかし、トリガーだけは忘れないよう目につくところにメモをしておき、続けていったところ、徐々に習慣となってきて、今ではトイレ終わりにスクワットを忘れることはほぼ無くなってきている(人がいるところで控えるが)。
トリガー設定のコツ
トリガーを設定する、といっても、適当な方法では効果が発揮されない場合がある。
たとえば、トリガーを稀にしか起きないことにした場合には習慣になりえないのだ。「ご飯が寿司だったとき」をトリガーにして筋トレをする、では一年で何回できるか分かったものではないのである。
そのため、トリガーはできるだけ小さな動作にするか、毎日必ずすることにすると良い。
例に挙げたように、トイレや入浴など毎日することをトリガーにするのも良いのだが、その場合は回数やタイミングが決まってしまっている。日に数度やっておけばOKなことを組み込んでおくと良いだろう。身体が固ければストレッチをする、としてもいいし、もっと簡単に伸びをする、だけでも座りっぱなしの身体には効果がある。
勉強のように任意のタイミングで開始したい行動の場合には、小さな動作をトリガーに設定するのがいいだろう。その時、できれば即座にその行動に入れるような小さな動作を設定できると良い。
小さな行動であれば、開始するときのエネルギーを小さく抑え、きっかけの動作を基に行動開始がしやすくなる。
適当な例をいくつか挙げてみよう
- 数学をしたいのであれば、とても簡単な計算問題を解く
- 歴史の暗記をしたいのであれば、一問一答を開く
- 英語の読解をしたいのであれば、問題集を開く
本当になんでも良いので、しっくりくる自分なりのトリガーを考えて試してみよう。
その勉強にシームレスで繋がるようなトリガーであれば自然に開始できるのだが、別にこだわり過ぎなくても良い。なんでもいいので勉強をはじめるきっかけになればよいのだ。
あとはトリガーに紐付けた行動を愚直に続けるだけ、である。
自分に言い訳するだけの時間を与えずに、トリガーから間を開けずにその行動に移るのがちょっとしたコツである。
習慣にすることの大切さ
習慣にする、ということは人生においてとても大きな力を発揮する。
たくさんの偉人がその格言に「習慣」をとりあげているように、何事も続けるということは大きな成果につながるのだ。
重要なことはもう書いたので、興味がなければこれ以降は読まなくても問題ないのだが、ひとつだけ紹介しておこう。
海苔漁師のおじさんの話である。
海苔漁師、徳永義昭さんがピアノ曲「ラ・カンパネラ」を弾く
海苔漁師は9月~3月まで働き、4月~8月は暇らしい。
暇な時期、徳永さんはパチンコをして時間を潰していたらしいのだが、2ヶ月で70万負けるという大負けを喫したことで妻に怒られ、パチンコを辞めた。
無趣味となってしまい、家でぼーっとテレビをみていたそうだ。
そんなとき、偶然聴いたフジコ・ヘミングの「ラ・カンパネラ」という曲に感銘を受けた。
そして「自分も弾いてみたい」と思ったそうだ。
それから徳永さんは家にあった妻のピアノを触り始め、ピアニストにさえ難しいとされる「ラ・カンパネラ」を独学で弾けるようになった。
「難曲を弾きこなす漁師がいるらしい」と話題になったことで、結果としてフジコ・ヘミングさんの前でその曲弾く機会を得て、「ブラボー!」と言われた、というのがこの話のオチなのだが、わたしが感銘を受けたのはその練習期間だった。
それまでパチンコで浪費していた時間を全てピアノにかけ、7年という長い年月をかけて、ただ一曲を少しずつ少しずつ練習し続けていたのだ。
徳永さんが努力や習慣の天才だったのかもしれない。それほど難しいことをやってのけたのだ。しかしその結果は、練習し続けたという事実に連なっている。
なるほど、習慣の力とは偉大である、と改めて実感した。
習慣は第二の天性
習慣の話は、受験生にとって即効性のある美味い話ではないのかもしれない。
しかしトリガーに関して言えば、例えば苦手科目や模試の復習など、ピンポイントで気の進まない勉強を進めるときには利用できるかもしれない。
勉強が成績に反映されない、というのであれば勉強法に問題があるのかもしれないが、勉強時間をきっちり確保できていない、別のことをやってしまう、というのであれば、試す価値は有るはずだ。
勉強は、間違いなく習慣にすることができる。
習慣になるまで続けてみて欲しい。
習慣に関する格言
小さな子どもは大抵歯磨きをとても嫌がるものだが、そんな時期があったことはもう思い出すことも出来ないだろう。しかしそれが、今となっては「やらない方が気持ち悪く感じる」ようになっているのは、習慣の力である。そう思うだけで、その効力を少しは実感できるのではないだろうか?
最後まで読んでくれた人のために、発破をかけるような偉人の名言をいくつか挙げておこう。
心が変われば行動が変わる 行動が変われば習慣が変わる 習慣が変われば人格が変わる 人格が変われば運命が変わる
ウィリアム・ジェームズ
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから
マザー・テレサ
習慣は第二の天性
サミュエル・スマイルズ
編集後記
勉強方法、というよりも、生活習慣の話に近い記事内容だったかもしれないが、勉強に役立てることができそうなので取り上げた。とにかく毎日勉強することがきつい、というレベルの人に試してみて欲しい。
この先、大学生や社会人になって生活習慣が崩れたときなどにも応用できるので、頭の片隅においておくと役に立つときが来るかもしれない。
この習慣化という話、色々な自己啓発本が紹介しているが、本記事の内容を試してみれば事足りるレベルで、あとは色々な事例が載っているだけにすぎなかったりする。中にはいい本もあるのかもしれないが、正直このくらいの情報で十分な気が個人的にしている。
こういったちょっとしたテクニックは、覚えておくといつか役立つかもしれないので、試していいものがあればまた紹介する。
ちなみに、そもそも歯磨きが習慣になっていない、という反論をする人は、すぐさま歯磨きを習慣にしたほうがよい。中にはミュータンス菌が口の中に全く存在せず、虫歯にならない人もいるそうだが、いつ虫歯が出来る状況になってもなんらおかしくない。歯の病気は生死に関わるので、勉強云々と言っている場合ではない。学力も大切だが、健康が一番大切だ。