受験スケジュール – 秋の過ごし方 –
10月に入りはや2週間、急激に肌寒くなってきた。
いよいよ受験が近づいてきた実感が湧く受験生も多いのではないだろうか。
暑くて勉強できないなどと言ってた頃が懐かしいほど、徐々に緊張感が高まってくるのがこの時期だ。この後、吐く息が白くなってきたなと思うころには受験シーズンへと突入することになる。
夏は基礎固め、苦手克服、得意科目の強化など何かと勉強テーマは多くあるし、12月に入ると、共通一次試験対策や各科目の最終確認など、いろいろとやらなくてはいけないことが明確化されているだろう。
一方で、どうもこの2つの時期の谷間である10月~11月に関して、勉強スケジュールのアドバイスというのは少ないように感じる。
この記事では10月から11月のオススメの過ごし方について書いていく。
まだまだ基礎固めの時期とは言いにくいし、だからといって直前期とも考えにくい。
この時期、どのようなことをしていくべきなのかを紹介しよう。
この時期だからこそ過去問を解く
「過去問を解くのは直前期になってから」と考えている受験生は多いだろう。
学校や予備校などでも冬(12月以降、または共通一次試験以降)に赤本を解き始めようと指導する場合が多いのかもしれない。
しかし、自分自身の受験生時代、そして塾講師時代を振り返ってみても、過去問はこのくらいの時期から解き始めるのが良い。
直前期は何かとやることが多い
まず、直前期と呼ばれる12月以降は、やらなくてはいけないことがとにかく多い時期だ。
国立や共通テスト利用を狙う受験生ならば、12月から1月中旬まで共通一次試験対策に追われることになる。
特に難関国立大学志望で5教科7科目を受ける受験生であれば、12月以降で7科目の総仕上げをしなくてはならない。とてもではないが、過去問を悠長に解いているような余裕は無いだろう。併願の私立対策まで考えると、とれる時間は更に少なくなってくる。
受験本番期は満足に勉強時間を確保できない
「過去問は共通一次試験の後にやればいい」という意見もある。
しかしこれも、あまり現実的な意見とは言えない。
というのも、共通一次試験が1月の中旬頃、その2週間後あたりには私立の入試シーズンが始まることを考えると、かなり慌てて対策することになるだろう。
国立志望にとっても、2月中旬頃まで私立大学の入試日が続いた後、2月下旬に国立大学の前期試験が行われるため、確保できる時間は少ない。
私立にしろ国立にしろ、共通一次の後に過去問対策をはじめるスケジュールでは、本来であれば一番重要となる勉強のために確保できる時間が相当少なくなってしまうということだ。国立一本という豪気な受験生でなければ、大抵の場合時間が不足するスケジュールである。
入試期間中ともなれば、とにかく試験日に合わせて体調管理を優先するべきであり、夜遅くまで根を詰めて勉強をすることは避けるべきだろう。
さらに、よほど体力があるか強心臓でもない限り、試験当日は緊張やプレッシャーでへとへとになってしまう。この場合も、帰り次第頭を切り替えて即座に勉強に臨む、というわけにはいかない。
試験日が連続するような場合には、その間は満足に勉強することができないことになり、簡単な見直しを除くと、やはり体調管理に重点を置いて本番を乗りきるというスタンスになるだろう。
そうなると、これだけで数週間はインプット系の学習ができないことになる。実質、きっちり勉強できる日数は本番期においてはほとんどとれない、取れても数週間程度と考えて良いだろう。
出願手続きの煩雑さを侮ってはいけない
共通一次試験の後は、出願もしなくてはならない。
この出願作業というのがまた面倒であり、願書を書いたり必要な書類を揃えたりと、結構神経を使う作業になる。
学校や保護者が手伝ってくれるのかもしれないが、多くの場合受験生は自分で記入作業をすることになるだろう。
- 受験料はいくら?
- 振込み期限はいつまで?
- 試験日はいつ?
- 合格発表の日は?
- 併願校を詰め込みすぎていないか?
- 休養日は確保できているか?
考えてはじめると、気をつけないとといけないことが結構多いことに気づくだろう。
こういったスケジューリングなども学校や保護者、塾の人が手伝ってくれるかもしれないが、受験を受けるのはあくまで君自身だ。
無理な併願パターンやスケジュールを組んで自滅しないよう、しっかりと自分で管理しなくてはならない。
そうなると、こういった作業でやはり数日は満足に勉強時間が確保できないという勘定をしておくべきだろう。
今の時期は1日10時間、何も問題なく勉強ができているかもしれないが、直前期には様々な要因でそうはいかなくなってくる。何よりも重要なのは体調管理となってくるため、それまでに勉強面での準備は概ね終わらせておくべきなのである。
直前期から本番期にかけてとれる時間が少なくなってくるため、秋の段階で過去問をこなしておく重要性が伝わっただろうか。
秋は計画変更が間に合う最後のタイミング
この時期、もうひとつやっておくべきことは、過去問の結果を考慮した上での受験計画の修正である。この時期であれば、まだギリギリ志望校や併願パターンの計画変更ができるからだ。
過去問を解くことで問題点をあぶり出せる
例えば、いざ過去問を解いてみたら、自分との相性がすこぶる悪い試験形式だったらどうだろうか?得意教科の配点が少ない、得意科目が例年ほとんど出ていない、といった問題が出てくることなども考えられる。
願書を出した、受験料も振り込んだ、併願スケジュールも組み終わった。でも合格点を取れる見通しが全く立たないです、では、キツイ言い方かもしれないが受験料をドブに捨てるようなものだろう。
そういった判断ミスを予めカバーするという意味でも、前述の通りこの時期にひとまず過去問を解いてみるのが有効である。出題形式や傾向、難易度、試験時間などを肌感覚で体験し、自身の実力を数字で把握する。そうすることで、改めて受験計画を見直すことが可能となる。
何も物差しが無い状態では、どのような戦略で受験に挑むのかすら決めることができない。
冬に入ってからはやるべきこと、やらないといけないことが増え、凄まじい速度で時間が進んでいく。このことを考えると、やはり秋が事前に計画の方向性を修正できる最後のタイミングとなるだろう。逆に言えば、ここでしっかりとした計画を立てることで、本番を含め一心不乱に進んでいくことができる。
夏に固めた基礎学力を、上手く応用まで乗せることができるかどうかを試す時期として、有意義に時間を使っていこう。
同時に見えてくる受験計画の落とし穴
過去問を解いたときの肌感を基に受験計画を考え直すべき、と書いたが、これは同時に「模試の偏差値や点数だけで志望校や併願パターンを組むのは非常に危険」だということも示している。
同じような難易度、偏差値でも出題形式は大きく異なるため、十全に力を発揮できるのかどうかも大きく変わってくる。こういった試験と自分との相性も含めて考えないと、結果として取り返しがつかなくなっても全くおかしくない。
一回の試験結果で多くの大学・学部の判定を算出する模試の方式では、測れない部分は必ず出てくる。それだけを盲信しては、手痛い結果が待っていることだろう。
そういった部分をできるだけ無くすためにも、早い段階で一度過去問に取り組み、試験の感覚を掴んだ上で計画を考えよう。
単に偏差値と大学の一覧表見てるだけでは気づけないことが、実際に過去問を解くことによってわかってくる。偏差値表とにらめっこしているよりもよほど有益な気づきである。
その「自分なりの気づき」が大切だ。
それを基にして計画を立てていくことで、最後まで納得して勉強や試験に挑んでいくスケジュールをたてることができるだろう。
編集後記
本記事の要旨は大きく2つ、秋には過去問を解いてみること、そしてその上で受験計画を考え直すこと、だ。
まだ時間の取れる時期に方向性をしっかりと決めておくことで、ラストスパートにおいて一心不乱に勉強し、本番にもフォーカスすることができる。
まだ方向転換することができるこの時期、ただ目の前の課題や勉強に追われすぎないよう、受験計画全体を見据えた上で、有用なスケジュールを設定することを心がけよう。