予備校を活用し尽くす
あなたはもしかすると、なんとなく塾に通っているだけかもしれない。
心当たりがあるかはわからないが、もしきちんと活用し切れていないのであれば、成績をあげることも、当然志望校に受かることも出来ない可能性がある。
ここでは、予備校をきちんと活用するためのポイントをいくつか紹介していく。
大抵の場合、予備校は講義や講習を設定した段階で期間分の料金が請求されるため、後になって辞める、ということは無駄が多く、できない判断と言えるだろう。しかし、ただ惰性で通って安心を買っているだけ、というようなパターンが最も危ないといえる。
少しでも多く予備校のメリットを引き出すことができるよう、手助けができれば幸いである。
予備校に振り回されていないか?
まずはじめに、塾に入るだけで満足し、ただ惰性で通ってはいないか、ということを確認したい。
一度立ち止まり、このままで本当に良いか?と自問してみて欲しい。
今から挙げるようなことに覚えがないだろうか。
言われるがまま講義を受けている
大体どの塾でも、コースごとにて「ハイレベル~~~」だの「難関国立対策~~~」だのといった授業が大まかに設定されている。
何も考えずにそういったコースから一つを選択し、設定されている講義を受けるだけになっていはいないだろうか?
塾に通う大きなメリットとして、自分の考えが足りずとも勉強内容を設定してくれる、というのは確かにある。特に親にとっては、そういった既存の設定に全て任せることができるのは安心感があるだろう。
しかしそういった講義は、当たり前だが個々人にチューニングされた内容ではない、ということは理解しておこう。当人が勉強するべき内容と講義内容が一致していればいいのだが、そういう場合は稀であると言える。
国立を目指すのか、私立はどの程度のレベルを志望するのか、併願校は国立向けの学習内容でカバーできるのか、どの程度の深度で学習をするべきなのか…受験戦略によって大きく変わる事情を、全て満たすことのできる出来合いの講義は存在しないのである。
もちろん、基礎的な学習を自前で済ませ、演習として質の高い問題に触れたい、というレベルの受験生であれば大いに活用できるだろう。特に、志望校がはっきりとしていて、その大学の名前を冠した対策講座などを受けることは大変有効であるといえる。予備校でみた類似問題が試験に出た、という話は意外と聞くことがあるものだ。
まずは自分に必要な講義を受けることができているか、考えてみよう。
講義で手いっぱい
別記事で自習の重要性を説いたが、予備校に通っていてもそれは変わらない。
そのため、講義の予習復習で1日の勉強時間が埋まっているような状況は黄信号と言える。
受験勉強は、どのタイミングでも「学習によって合格基準まで自身を高めていく」作業をすることになる。常に自分の実力を把握しておき、足りていない要素を埋めるための勉強をしていかなければならないわけだ。
それなのに、講義内容の予習や復習だけに終始しているようでは、どう考えても必要な学習に手が回っていないことになる。
特に基礎や暗記系の勉強に関しては講義で賄われることがほぼ無い、と言っていい。
歴史や理科など大量の暗記が必要な科目は、時間を作ってコツコツ進めていかなければ手遅れになってしまうと容易に想像できるだろう。
講義をこなすだけで自分の学習を進めず、あとになって穴だらけの理解度に絶望する状況に陥らないよう、講義の予習復習だけで1日を終わらせてはいけない。
志望校が曖昧なまま
最後に、これは予備校に通う以前の話かもしれないが、もしも早い段階で志望校がハッキリ決まっていないのであれば、それはそのまま予備校の意味が無いと言い切れるほどの大問題である。
レベルの高いコースに通ってさえいれば対象大学よりも偏差値が低い大学全てに対応できるかというと、そんなことは全くない。
例えば日本の大学の最高峰、東大京大のコースがあったとしよう。
その場合、大抵の講義は対象大学の予想問題や頻出問題の演習が中心になるだろう。志望校が違えば、受ける意味が無いと言えるほどの乖離が発生する。
また、東大京大に受かるような強度の勉強であれば、まず徹底して基礎学力を磨き抜く必要があると個人的には考えるだが、そういった学習だけを進めていても、より細かい知識を求められる難関私立に受かるとは限らない。
学部ごとの試験の特色なども考慮すると、それぞれ別の対策をとる必要も出てくる。
つまりは、志望校を決めないことには無駄なことをやり続ける可能性が常に発生し、必要な対策がとれないままになってしまうのである。
志望校が決まらなければ受験スケジュールと必要学力の設定もできないままだ。
自分がどの程度勉強すればいいのかもわからないまま、チューターや講師にどのような質問をすればいいのかも定まらず、有効な講義の見極めもできないことになる。
本当に初歩的なことではあるのだが、せっかくの予備校を使いこなす最初の一歩として、志望校の選定は必須であると言える。
予備校のメリットを享受し尽くす
予備校にいるだけでは、成績が上がるわけでも合格への最短距離を進めるわけでもない。
では、予備校に属することのメリットを享受するにはどうすればいいのか?
わたしが思う内容をまとめていこう。
面白い講義を探す
まず予備校に一番期待することは、身になる(面白い)講義を受けるられる、ということだろう。
聞くだけで完結する講義は存在しない、というのがわたしの持論であるが、面白い授業であれば理解も捗り、楽しく学習することができる。
あまりおもしろくない授業や恐ろしい講師の講義などもちろんあるが、予備校講師というのは受験勉強を教えるプロである。特に大手に関しては有能な講師を揃えて目玉にしていることもあり、有名な講師はその分授業も面白く、ためになることが多い。
参考書以上に理解が捗る講義を受けることができる、というのは間違いなく最大のメリットであると言えるだろう。
人気講師は比例して良い講義であることが多いので、どの講義が人気でおもしろいか、という情報を積極的に集めてみよう。チューターなどに聞いても良いかもしれない。
自分の立ち位置を把握する
どれだけ拙くてもよいので自分なりに学習計画と進捗を用意しよう。
というのも、そうすることで、受ける講義の有用度や必要となる講義の選択ができるようになるからである。
必要な学習が明確になることで、科目ごとの詳細な質問から大まかな受験計画に関しての質問まで、海千山千の予備校講師やチューターに質問することができるようになる。
予備校にいることの大きなメリットとして、わからないことを瞬時に質問できる環境がある。それを余さず利用するためには、自分が何をわかっていないのかを把握する必要がある。
自分の立ち位置をしっかりさせることで、何を知ればいいのかがわかってくるはずだ。
学習習慣を身につける
メリットの一つとしてバカにできないのが、講義ごとに決まった時間の出席が必要になる部分だ。
これがある種の学習のペースメーカーとなり、毎日学習するリズムをつくるのに一役買ってくれる。有効な講義を見極め選択し、自習でしっかりと消化できるのであれば着実に実力を伸ばしていけるだろう。
夜に学習するほうが捗る人もいるのだろうが、大抵の試験が朝に行われることを思えば、確実に朝型生活をしていたほうが有利だ。パフォーマンスを十全に発揮するように自分を律するのも、十分受験対策の一貫と言える。
特に浪人生ともなれば自宅学習ではリズムを崩してしまう可能性も高いため、「講義を受けなければいけない」という強制力は得難い要素だったりもする。
朝一の講義を受けるのであれば、本番の試験開始くらいの時間に始まることが多いだろう。そこに合わせて覚醒しきるような生活リズムを作っていけると最高だ。
共通の目標をもった友人ができる
これは人によって良し悪しが変わりそうであるが、予備校で友人ができる場合もある。
サボり癖があって自分を邪魔してくるような相手であれば必要無い以上に敵であると言えるのだが、共通の目標をもって努力を重ねている隣人の存在は間違いなく支えになる。
以前にインタビューした受験生は、予備校の寮に入って、得難い仲間を得たと言っていた。
寮生レベルで仲の良い友人を見つけるのは簡単ではなく、予備校には別に友達を探していくわけではないのだが、もし見つかるのであれば、受験にプラスになると断言できる。
もしかすると同じ大学に受かり、そのまま学友になることがあるかもしれない。
自習室が使える
これもまた人によって良し悪しが変わりそうな内容であるが、大抵の予備校では併設された自習室の利用ができるようになっている。
案外と実家で静かに勉強をするというのが難しい人というのは多いようだ。
実際、テレビや漫画、パソコンやスマホなど誘惑が多い環境で勉強をし続けるのには余計な意志力が必要になってしまう。
勉強にだけ特化した空間がある、というのは十分メリットと言えるだろう。
例えば公営や学校の図書館などもそういった空間になり得るが、予備校で講義を受けて、そのまま自習室が使えるいう利便性は中々変えられないものである。
人が多すぎて入れない場合などもあるだろうが、家で勉強が捗らない場合には積極的に活用していこう。
いくつか予備校のメリットを書いてきたが、結局のところ、どれだけ自分から動けるか、ということに左右されるように思う。
淡々と通うだけでなく、払った分使い倒すつもりでいけば、きっといい結果が待っていることだろう。
編集後記
今の段階でお金の話をしてもピンとこないかもしれないが、予備校に通うというのはとてもお金がかかる行為である。
大手予備校に入るための費用は相当高く、年間で70~80万ほどかかると言われる。
この金額が少なくないものであるのはわかるだろうが、バイトをしてみたり、社会に出てからでないと本当に実感できる金額ではないかもしれない。
テレビやネットで良く登場する有識者が、大卒というカードの有用性を話しているところをみたことがあるだろうか?大卒と高卒では生涯年収が数千万違ってくる、大学進学やそれに付随する出費はトータルで考えれば安いものだ、といった旨の内容を聞いたことがあるかもしれない。
確かにその主張自体は間違っていないかもしれない。
しかし、出費として払うのは親であり、その金額は安いものではない、というのは意識しておいて欲しい。
老後に世話をしてほしかったり、家を継いでほしかったりと、それぞれの家の思惑があるかもしれないが、そうだとしても、君たちに良い大学に入り、少しでも良い選択をしてもらいたいという親の期待を無為にしてはいけない。
そういうことを考えると、おじさんとしては、より一層予備校を活かしきれていない学生がもったいなく思ってしまうのだ。